英語学習のモチベーションを維持するための5つのコツとは?
英語学習のプロの意見 : 5
「英語力を伸ばそう!」と思っても、実際に行動に移せる人や、さらにそれを継続できるとなるとかなり少なくなります。英語学習で抱える悩みとして「モチベーションが維持できずに途中で止めてしまう」というのは、一番に来るといっても過言ではないでしょう。
ただ、何事も適切に対処していけば突破口は見えてくるものです。
ここでは英語学習においてモチベーションが下がってしまう原因と、その解決方法を紹介していきますね。
この記事に登場する英語学習のプロ
Janickiコーチ
アメリカ在住。TESOL取得。日米で翻訳・通訳の経験あり。日本語教師としても活動。現地大学で多国籍なクラスメイトと共に英語の勉強中。
Harue
【英語ある生活で子どもと大人の未来を拓くDAAグローバル子育てコーチ】子どもの興味関心、発達段階、個性、脳の特性を活かした英語習得法、またその土台となる親子の心育てについて研究し、おうちの方向けに発信している。大手英会話学校講師時代には、幼児から大人クラス、プライベートレッスン、資格試験クラス、セミナーなど幅広く担当し、国内自動車メーカーで社外講師としての経験もあり。大人の英語学習においては、個々の興味関心を活かした英語学習のコーチングが得意。一児の母であり、自身の子供にも、ツールとして運用ができる英語力が身に付いていくよう、好奇心や発達段階、思考力・想像力の基盤である母語も大切にしながら、無理なく自然に英語に触れさせている。
竹村 和浩
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部准教授、株式会社ユニバーサル・エデュケーション 代表取締役。英検®1級・英語通訳案内士。英語発音矯正士。英語発音矯正の専門家であり、この分野の第一人者。独自の英語音声指導法:EVT: English Voice Train、ing ,英語生成教則:GEM: Generative English Methodを開発。日本にいながらにしてグローバルに活躍できるグローバル人材育成の専門家。日本人がグローバルに活躍するために必要な、英会話の基礎としての英語発音トレーニング、ディベート、ロジカルシンキング、欧米型交渉術、日本文化を理論的に学ぶ「日本学」を専門としている。
Fuji
広島生まれ、横浜育ち、大学は理系の純日本人。日本での学習2ヶ月でTOEIC®800点を超え(現在990)、楽天株式会社国際部での勤務後、イギリスのMBA大学院Warwickへ。日本人最年少合格、アイルランドの大学UCCにて同大学歴史上初めての日本人として英語教授法資格CELTAを取得。
前川 未知雄
1978年石川県金沢市生まれ。星稜高校卒。大学在学中にスカッシュというスポーツに打ち込み、2度の海外遠征を経験したことで英語への愛が深まった。2021年8月にスポーツ専門・オンライン英会話講座(アスリート・イングリッシュ・マイスター)を開始し、首都圏在住の五輪代表選手2名の遠隔英会話指導を行っている。帰国子女・英文科卒・海外の大学(大学院)卒といったバックグランドでは無く、25歳以降ほとんど国内での英語学習により英語力を高めてきた自身の経験、自身の学習法を述べ400名以上のマンツーマンレッスンで検証した指導経験、CELTA(ケンブリッジ大学認定英語教師)教授法などを活かし、口だけでは無く成果の出せる教師を目指している。通訳案内士・TOEIC®990点・英検®1級・IELTS™8.0(スピーキング8.0)
モチベーションが維持できない/下がる要因とは?
自身の英語レベルに合わない勉強方法を試している
まず確認してもらいたいのは、「ご自身の英語レベルに合った学習ができているか」です。例えば、まだ英検3級レベルの語彙しか覚えていないのに、英検1級レベルの英文を読もうとしてしまうと、途中で挫折してしてしまうのは想像できると思います。流石に英検は級で分かれているのでイメージしやすいはずですが、まだTOEIC500点のレベルなのに英字新聞を読もうとしたり海外ドラマを見ようとしたりすると、それが叶うまでにあまりに時間がかかり過ぎるため、どれだけやっても見につかないと感じてしまうかもしれません。
他にも、TOEICでスコアが必要だからといってTOEICの勉強ばかりするのも考えものです。仮にTOEIC500点だとして、リスニングでスコアを稼いでいたとしたらリーディングはTOEIC400点ほどのレベルにあるのかもしれません。その状態で「私はTOEICのスコアを上げたいから」と難しいTOEICリーディングばかり解いていると、さっきの英字新聞や海外ドラマのケースと同じ状況になります。そのような場合、あえて英検準2級などのレベルに合った目標に一度シフトすることで結果的に近道となり、その道中でしっかりと伸びも感じられるでしょう。
学習方法が自身の性格と合っていない
他にも、「学習方法が本当に自分に合っているか」を確認してみてください。いわゆる学校英語・受験英語が得意だった方であれば、単語帳にチェックを入れていったり、単語カードを作ったりして覚えていくことが合っているかもしれません。また、人によっては目で見たほうが覚えられたり、耳で聴いたほうが覚えられたりといった得手不得手もあるでしょう。単語単独で覚えようとして頭に入らない人も、文章の中に散りばめられた単語であれば、文脈の助けを借りて覚えやすくなるという人もいます。または、書いて覚えたり、アプリでゲーム感覚で覚えたりなど学習方法は様々あります。
学習期間という視点で捉えても、短期集中でグッと負荷をかけてストイックに取り組みたい人もいれば、軽めの負荷で長期的に取り組むマラソンタイプの人もいるでしょう。どちらか一方が正解というわけではなく、一番大事なのは「自分の性格に合っているか」です。英語に限らず、これまでの学習経験で成功した例を思い出して、それに沿った形で英語学習方法を選択すると良いでしょう。
英語学習を何のためにやっているか?が不明確
仕事のことや家族のことなど、普通に生活をしていれば英語学習よりも優先すべき出来事は次々と発生するものです。そのような時に「とりあえず英語を話せるようになりたい」「将来仕事で役に立つかも」など、元々の英語学習の目的が曖昧な場合だと、時が経つにつれて他のことに意識が向くのは当然とも言えます。
そのような中でも学習を継続できる人というのは、明確な目的意識があり、それに基づいて行動を起こすことができる人です。さらに、英語学習をした先に「英語ができるようになった自分」をイメージして、それによって生まれる「理想の自分」がモチベーションになっているのです。
例えば、仕事先で英語が必要になる案件が来たときに迷わず手を上げられる、海外旅行先で現地の人と会話ができる、といったものです。こうしたプラスのイメージが頭の中にクリアに出来上がっているからこそ、目の前のことに気を散らされ過ぎることなく、英語学習に集中することができるのです。
上達が実感できていない
英語学習に限らず、投資したものに見合うリターンが無ければ、それを続けるモチベーションは下がってしまうものです。英語学習におけるリターンとは「上達・成長」となるでしょう。「いくらやっても意味がない」と思ってしまうため、自然と気持ちが向かなくなってしまうでしょう。
この問題を考える上では、まず「そもそも上達する学習ができているのか」を確認します。不安があれば、一時的にでもコーチを付けて正しいフォームで学習できているかを確認しましょう。フィットネスクラブでパーソナルコーチを付けるようなイメージです。そして、正しいフォームで学習できていることが確認出来たら、「上達を実感できる仕組み」を作っていきます。最も分かりやすいのは、伸びを数値化できる英語資格試験を取り入れることでしょう。
モチベーションを維持するための5つのコツ
1. 学習を日常の習慣の中に組み込む
そもそも「モチベーションが無いと続かない」という考え方から見直していきましょう。例えば歯磨きなどは、特にモチベーションが無くても毎日実施しているはずです。決して楽しいから行っているわけではないと思いますが、やらないと何か気持ち悪く感じるはずです。こちらのように、「モチベーションの有無にかかわらず続いていること」を英語学習に応用していきます。
Janickiコーチ
こちらのJanickiコーチのように、もし歯磨きをしている間に、今まで何となく鏡を見ていたとしたら、その時間を英単語暗記に割くことができるかもしれません。片手は空いているでしょうから、単語アプリを使用したり単語カードを見たりすることはできるでしょう。
もしテレビを見る習慣があってCM中の時間も使えるようであれば、アプリで1~2問の問題を解くこともできるでしょう。「CM中に終わらせないと」という制限時間への意識も高まるので一石二鳥です。他にも、通勤時間で今まで何もせず到着を待っていたとしたら、その時間に英語のポッドキャストを聴くのも良いでしょう。片耳イヤホンにして周りの音も聞こえる状態であれば、家と駅の間でも聴くことはできるはずです。
ポイントは、すでに習慣化している行動に英語学習を組み込むことです。普段シャワーだけの人が入浴中に勉強しようとしても、ハードルが二倍になるだけで効果は発揮されづらいです。また、すでにある習慣を崩してしまうような負担が大きい学習は避けましょう。長文読解やライティングなど、しっかり頭を使う系の学習はこうしたスキマ時間の学習には向きません。単語暗記のような単純作業系の学習や「ながら学習」しやすいものを持ってきましょう。
2. 好きなことで英語学習を行う
もし英語学習自体にあまり気乗りがしなかったとしても、何か別の楽しいことであれば当然モチベーション高く取り組めるはずです。オフの日や自由時間に積極的に取り組んでいる趣味があれば、それを活用して英語学習をすることで継続しやすくなるでしょう。
Harue
こちらのHarueコーチのように、ドラマや映画が好きな人であれば、そちらを英語字幕付きで見ることが英語学習になるでしょう。仮に仕事終わりで英語ニュースを見るのは嫌だなと感じていても、ドラマ自体が好きであれば視聴しようという気になりやすいはずです。他にも、もしゲームが好きであれば、主言語を英語に変えることでゲームをしながら英語に触れることができるでしょう。また、少しハードルが高いかもしれませんが、Meetupのようなマッチングアプリを使用して、「共通の趣味を持つ人々が集まるアクティビティ」に参加するのも一案です。英語話者のユーザーが主なので、ヨガをしたりボードゲームをしたりなど趣味を絡めて語学学習をすることができるでしょう。
少し視点は変わりますが、モチベーションが下がってきたなと感じ始めたときに、英語学習の取り組み方を自分が好きな方向にシフトさせるというのも効果的です。例えば、オンライン英会話をがんばっている方であれば、ただ講師の誘導に任せるのではなく「今日は私の好きなアイドルについて話したいです」のようなリクエストを出しておけば、好きなことを軸に英会話をすることができるでしょう。何もリクエストをしなければ、たとえカスタマイズが可能なプライベートレッスンであったとしても、講師は画一的な万人受けするレッスンを展開する可能性が高いです。能動的に行動を起こすことで、既存の学習をより楽しいものに変え、それが学習のモチベーションにも繋がっていくでしょう。
3. 特定の試験を目標にする
成長を可視化することで、努力に対してリターンがあることを実感しやすくなり、もっとリターンを得たくなって英語学習を続けるという良いサイクルを作り出すことができます。
竹村 和浩
こちらの竹村コーチのように、成長を可視化するために適切なレベルの英検やTOEIC、VERSANTの試験を定期的に受けることはとてもお勧めです。
大事なのは「先に申し込みをしてしまう」ということです。誰しも〆切が近くなって「がんばらないと」と思って集中力が上がった経験はあるのではないでしょうか。先に試験を申し込むことで強制的に〆切を作ってしまい、そこまでに間に合わせられるよう学習しようという気持ちが湧いてきやすくなるでしょう。その際、当然ですが受験料も払うことになるので、それを無駄にしたくないという気持ちも働くでしょう。「まだ準備ができていないから」と考えて申し込みを後回しにしてしまうと、「まだ勉強できてないからいいや」と申し込みはどんどん先送りされていきます。そのためにも、三か月に一回など「定期的に試験を受ける」というルーティンを作っておくと良いでしょう。
注意点として、ご自身のレベルに合った試験を選択するようにしましょう。例えば、TOEICは450〜750点くらいの範囲でスコアが伸びやすく、努力の量に応じたリターンが感じやすい試験です。ただ、800〜950くらいの範囲は中々スコアが伸びず、このあたりのレベルの方の成長を可視化するのに適した試験とは言いづらいです。そのような場合、TOEICよりもレベルの高いTOEFLに試験を変更するのもお勧めです。もしリスニングが得意でTOEICだと九割ほど正答できる人でも、TOEFLであればより手応えを感じられるでしょう。また、スピーキングやライティングといった新たな壁も出てくるので、こちらも良い刺激となることでしょう。
4. 学習方法を変える
一つの学習が煮詰まってきたとき、気分転換を取り入れるのは非常に有効です。その際、完全に英語学習を止めてしまうと、そのまま戻ってこられなくなるリスクがあります。
Fuji
こちらのFujiコーチのように、例えばTOEICなどの資格勉強をしていて疲れ切ってしまった場合、いったん「TOEICではない英語勉強」にシフトするのもお勧めです。TOEIC勉強の反動で全く英語に触れたくない、聴きたくもないという気分になることもあるでしょう。ただ、本当に完全に英語を止めてしまうと、一時的にはスッキリした気分になるかもしれませんが、後で大きな後悔をしてしまうかもしれません。そんなとき、少なくとも洋画やYouTubeは見ていた、オンライン英会話はしていたという事実があるだけで自分を許しやすくなりますし、タイミングが来たときに英語学習に戻りやすくもなるでしょう。
また、別のスタイルの英語学習を取り入れることが、巡り巡って大きなブレイクスルーのきっかけになることもあるかもしれません。先の例だと、TOEICスコアアップのために「一語一句漏らさず聞き取ろう」とするリスニングスタイルだった人が、学習法をシフトしたことで少し気を抜いて「洋画を楽しむために大枠だけ掴もう」というスタイルに切り替えることで、「要点を掴むリスニング」のコツを身につけることもあるでしょう。前者のスタイルの人は頭の中で英文を思い浮かべてそれを読解するようなリスニングをするのに対し、後者のスタイルだと文ではなく映像で捉える感覚となり、結果としてより精度が高まるということも起こり得ます。
5. 過去の成長を再確認する
モチベーションが下がってしまったとき、今までの学習の結果として「自分が成長しているんだ」という実感が持てれば、無駄じゃなかったと思いモチベーションが再燃することもあります。
前川 未知雄
こちらの前川 未知雄コーチのように、必ずしも英検のような資格試験を受けなくても、オンライン英会話の先生に小テストをお願いすることで、ご自身の成長を実感できる仕組みを作ることができるでしょう。英検やTOEICだとどうしても「その試験のための対策」を余分にしなければいけませんが、「先週学んだことの復習テスト」のような形であれば無駄がありません。答えはすでに分かっているようなシンプルなテストにすることで、努力と成果がはっきり分かるようなものにしましょう。
他にも、スピーキングを練習されている方なら、定期的にご自身の発話を録音しておくと良いでしょう。そして、モチベーションが下がってきたなと感じたときに、最初の録音から聞き返してみることで、ご自身の成長を客観的に確認することができます。スピーキングテストなども増えつつありますが、ご自身がより流暢に話せるようになっているのを確認することに勝るものではありません。
まとめ
いかがだったでしょうか? 英語学習のプロであったとしても、様々な工夫をしながらモチベーションを維持していることが感じられたかと思います。そうした工夫が万人の問題を解決するわけではありませんが、その中のどれか一つでも上手くはまれば、一生モノの英語学習習慣が身につきます。まずは一番ピンときたものから取り入れてみてください。