シャドーイングとディクテーションでリスニング力を飛躍的に伸ばす! 効果的な方法や注意点とは
英語学習のプロの意見 : 3
シャドーイングとディクテーションは、どちらもリスニング力の向上に効果的な練習方法です。本記事では、それぞれのメリットや効果、具体的な取り組み方について解説します。
どちらが効果的かについては、学習目的や強化したい部分によっても異なりますが、シャドーイングとディクテーションはどちらもレベルに合った教材や音声を選ぶことで、初心者から上級者まで実践できるトレーニングです。ぜひ、この記事を参考にトライしてくださいね。
この記事に登場する英語学習のプロ
Hirokoコーチ
大学卒業後、ファッションデザイナー、ダンス講師として勤務。専門学校、大学、企業で英語指導をした経験があり、オンラインサービスのパーソナルコーチとしても活躍。今年から日本語講師としても活動を開始した他フランス語を本格的に学習中。
Naoki
海外経験なしで30代後半から英語をやり直し、TOEIC®︎980点、英検®︎1級を取得。外資系企業勤務経験あり。現在は英語講師、英語コーチ、英日翻訳者として活動中。ほぼ独学で英語を学習したため、様々な英語学習法に精通。得意分野は大学受験英語、TOEIC®︎、英検®︎、ビジネス英語等。「正しいやり方で学習を継続すれば、英語はできる」をモットーに現在も効果的な英語学習法を日々研究中。
英語学習コーチ 谷口恵子(タニケイ)
TOEIC®990点。通訳案内士。社会人になってから本格的に英語を学習し、実践的な英語力を身に付けて仕事で使ってきた。日本オラクル株式会社、ソニー株式会社に勤務後、2013年より英語学習コーチとして活動を始め、企業研修、ストアカ、Schoo、Udemyの講座などを通じて、累計1万人以上に、シャドーイング、速読トレーニング、発音トレーニングなど、楽しくて効果的な英語学習法を伝えてきた。主な著書は『TOEICリスニング満点コーチが教える 3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』『学校では教えてくれない!1ヶ月で洋書が読めるタニケイ式英語リーディング』『1日10分! 楽して伝わるタニケイ式英語発音トレーニング』『TOEIC L&Rテスト 絶対攻略リーディング』。
シャドーイングとは?
はじめに、シャドーイングの意味や目的について説明します。シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、1~2語遅れて復唱するトレーニング方法です。ネイティブスピーカーの発音やリズム、イントネーションを模倣することで、リスニング力とスピーキング力、発音やイントネーションのスキルをを向上させることが目的です。一般的に、テキストは見ずに音声に集中し、聞こえるままに発音することがより効果的とされています。
シャドーイングの効果・メリット
シャドーイングの効果やメリットは、以下のとおりです。
- リスニング力の強化
- スピーキング力の強化
- 発音やイントネーションの改善
以下でわかりやすく説明します。
リスニング力の強化
シャドーイングにより、リスニング力の向上が期待できます。具体的には、以下のスキルに効果があります。
- 単語同士の連結やリンキングのパターンを学べる
- イントネーションやアクセントを習得できる
シャドーイングで英語特有の音声変化を学びながら、自分でもトレーニングを重ねるうちに、発音できる音が増えていきます。その結果、脳がその音を認識でき、聞こえるようになります。「自分で発音できる音は聞いても理解できる」というのはこの仕組みに基づいています。
英語特有の音声に慣れ、強調して言う部分や言葉のつながりを正確にとらえることができ、より高度なリスニングスキルを獲得できます。
以下に、リスニングと発音の関係が詳細に記載されているQ&Aをご参照ください。
Hirokoコーチ
スピーキング力の強化
シャドーイングを行うことで音声理解と意味理解とが結びつき、英語を聞いて理解するまでのスピードが格段に上がります。また、シャドーイングを通じて多くの英文に触れることで、英語でよく使う表現や定型句のインプットが増え、繰り返しの中で耳に馴染んだフレーズが自然な形で覚えられます。
相手の英語を聞いて理解し、自分で表現できる英語が増えることにより、実際の会話においても自発的に使える表現が増えていきます。
発音やイントネーションの改善
シャドーイングでネイティブスピーカーの発音を徹底的に真似ることで、口の動かし方や音の強弱、単語どうしの音のつながりが理解できるようになり、正確な発音を身につけることができます。イントネーションに関しても、注意深く聞いて実践することを通し、音の上がり下がりや全体のリズム、ニュアンスをつかむことが可能です。
自分の発音とネイティブスピーカーの発音やイントネーションを比較することで、改善すべきポイントを見つけ出し、より自然で流暢な発音が身につくことが期待できます。
シャドーイングのやり方を7ステップで解説
次に、シャドーイングの方法を見ていきましょう。
- 音声の選択
- リスニング
- オーバーラッピング/リピーティング
- シャドーイング
- 繰り返し練習
- 録音しお手本と比較
- 定期的な進捗チェック
以下に、具体的に解説していきます。
1.音声の選択
はじめに、あまり速く話されていない音声か速度調整ができる音源を選びます。簡単な会話、短いニュース記事や英会話レッスンのモデル音声などが良いでしょう。内容は、聞いたりスクリプトを読んだりすれば半分程度は理解できるレベルのものがおすすめです。
シャドーイングを行うにあたって、音声・スクリプト(台本)・プレイヤー(再生速度を変えられるもの)の3つを用意しておきましょう。
2.リスニングと内容理解
選んだ音声を注意深く聞きます。文章の大意をとらえながら、話者の発音、イントネーション、リズムに集中しながら通して聞きましょう。
まずは何も見ないで聞いてみて、次はスクリプトを見ながら聞き、内容をさらに理解できるように心がけます。意味のわからない単語などがあれば調べ、さらにその後何回か聞いてみましょう。
3.オーバーラッピング/リピーティング
次にスクリプトを見ながら、お手本の音声にかぶせるように同時に発音します(オーバーラッピング)。スクリプトを見るときは、文字の情報に引っ張られて自己流の読み方にならないよう、お手本の音声により意識を向けるようにしましょう。最初からオーバーラッピングでは難しく感じられる場合、文を区切ってリピーティングすることから始めると良いでしょう。
4.シャドーイング
ここからシャドーイングの練習に入っていきます。聞こえた内容を即座に真似しながら発音しましょう。話者の発音やリズムにできるだけ近づけるのがポイントです。はじめはボソボソと口を動かしながら発音するやり方でもOKです。発音が難しい場合はスピードを下げ、ゆっくりと復唱し、徐々にスピードを上げていきます。
5.繰り返しシャドーイングを練習
同じ部分を何度も繰り返しシャドーイングします。繰り返し行うことにより、文の構造を理解でき、正確な発音が身につきます。慣れてきたら感情も加えて練習すると、より効果的なトレーニングとなります。
6.録音しお手本と比較
ある程度シャドーイングできるようになってきたら、自分のシャドーイングを録音して聞いてみましょう。聞き返してみると、うまく発音できたと思っていたところが意外に曖昧だったり、言いよどんでいたり、棒読みのようになっていたりすることに気づきます。
また、録音とお手本の音声を比較することで、自分の発音の弱点や改善すべき点がはっきりわかります。弱点が特定できたら、その部分を重点的に復習すると良いでしょう。
7.定期的な進捗チェック
一定の期間ごとに、以前のシャドーイングと比較してどの程度成果が出たか確認しましょう。録音を聞き比べ、発音が向上しているか、発話がスムーズになっているかを確認し、必要であればもう一度練習します。
次の課題の音声に移るタイミングとしては、大きなミスや抜けがなくなり、自分でも納得できる仕上がりになったら次に進むなど、自分で基準を決めておくと良いでしょう。
以下のQ&Aもぜひご参照ください。
Naoki
シャドーイングのコツや注意点
シャドーイングの練習に励む中で、「難しい」と感じる方も多くいらっしゃいます。効果的にシャドーイングを行うためのコツや注意点を、以下に挙げておきます。
- 難しく感じる場合は、違う学習を追加する
- スピードは遅めに設定する
- 意味を理解しながら練習する
- 発音が正しいことを意識する
難しく感じる場合は、違う学習を追加する
シャドーイングを行う際、教材やレベルによっては、リピーティングや音読、オーバーラッピングなどを組み合わせることが効果的です。これらの要素を柔軟に取り入れることで、内容がよりクリアになり、学習効果を高められます。
例えば、一部をリピーティングに切り替えたり、音読とオーバーラッピングを交互に行ったりする練習を加えることで、口の動きが滑らかになります。
慣れてきたらもう一度シャドーイングの練習に集中するなど、自分のペースで進めてみましょう。
スピードは遅めに設定する
英語のスピードについていけず、うまくシャドーイングができないというお悩みをよく見かけます。
シャドーイングを行う際は、スピードの調整ができるアプリやプレイヤーを選びましょう。0.1倍速ずつ細かく調整できるものを選ぶと便利です。通常の0.5倍速などゆっくり目の音声から始め、徐々にスピードを上げていくことが大切です。
意味を理解しながら練習する
シャドーイング自体は、英語の意味がわからなくても進められるトレーニングではありますが、それでは単に英語の音真似だけにとどまってしまい、シャドーイングの真の良さが生かせなくなります。
聞いて瞬時に理解する力を一緒につけられるよう、きちんと内容を理解しながら進めるようにしましょう。スクリプトを読んで、基本的な意味や文脈を把握することが大切です。
意味を理解しながらシャドーイングを進めるための方法については、以下のQ&Aで紹介しています。
英語学習コーチ 谷口恵子(タニケイ)
発音が正しいことを意識する
自己流の発音やイントネーションのままでは、シャドーイングで得られる効果が半減します。シャドーイングはお手本の音声をよく聞き、極力そのお手本に近づけることがポイントです。先入観を取り払い、聞こえるままに発音することに集中しましょう。
シャドーイング練習を録音し聞き返すことは、客観的に自分の発話を振り返るよい機会となります。定期的に録音し、自己流の言い方になっていないか、イントネーションやリズムは自然かどうか自己評価してみましょう。
そもそも、発音のルールについて理解していない場合は、シャドーイングを本格的に行う前に、発音の基本や口の動かし方などを確認しておくと良いでしょう。以下に発音について詳しくまとめている記事もご参考になさってください。
関連記事:英語の発音をよくする方法とは?音声変化と発音記号を学ぼう - スピークバディ英語学習Q&A
シャドーイングにおすすめの教材
基本的にシャドーイングは、英語の音声であればどんなものでも教材にできますが、はじめから難易度の高すぎる音声やトピックを選んでしまうと、挫折しやすくなります。特に初心者の方は、教材音声(英会話レッスンのテキストなど発音がクリアなもの)を使い、音声の速度を変更しながら少しずつ進めていくことをおすすめします。
中級者以上の方は、さまざまなソースを利用することで、幅広い表現やアクセントに慣れることができます。映画やテレビ番組、YouTubeの動画やポッドキャスト、オーディオブックなど、興味のあるコンテンツを活用しましょう。
シャドーイングをより深く学習したい方には、シャドーイングを添削・AIが発音を自動で評価してくれるアプリを活用すると、より早く効果的に学習を進められ、上達を感じられるでしょう。
以下に、シャドーイングに効果的な教材・アプリをご紹介します。
- 音声DL対応 改訂版 絶対「英語の口」になる!リアルな日常英会話で鍛える シャドーイング大特訓50
- シャドテン
- 最強 英語シャドーイング
アプリであれば、場所や時間を選ばず手軽にシャドーイングの練習ができます。アプリで学習したい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:英語力が上がる無料シャドーイングアプリ15選 | 初心者向け・ジャンル別に厳選してご紹介
【書籍】音声DL対応 改訂版 絶対「英語の口」になる!リアルな日常英会話で鍛える シャドーイング大特訓50
音声DL対応 改訂版 絶対「英語の口」になる!リアルな日常英会話で鍛える シャドーイング大特訓50| Amazon
音声DL対応 改訂版 絶対「英語の口」になる!リアルな日常英会話で鍛える シャドーイング大特訓50は、日常英会話でよく使う英文をベースにシャドーイングの練習ができる書籍です。
文単位での理解学習から始め、ゆっくりのスピードからナチュラルスピードでのシャドーイング練習にステップアップする流れで、段階ごとに無理なくシャドーイングができるように構成されています。シャドーイングを通して使える英会話フレーズを増やすことができるため、英会話のスピーキングを伸ばしたい方には特におすすめです。
【アプリ】シャドテン
・画像引用:App Store
シャドテンは、シャドーイングに特化した練習ができるだけでなく、コーチから添削・指導を受けられるサービスです。初回にレベルチェックを行うので、自分のレベルに合った教材で学習ができます。
自分では判断しにくい課題やできるようになった点などを、コーチが指摘してくれることで、より早い上達が期待できます。特にビジネスシーンやTOEICのリスニングを伸ばしたい方におすすめのサービスです。
【アプリ】最強 英語シャドーイング
・画像引用:App Store
最強 英語シャドーイングは、英会話スクールのウィリーズが提供するシャドーイングアプリです。
小説やスピーチ、ニュース、各種試験リスニング対策など、さまざまなテーマから学習内容を選ぶことができます。音声認識技術を使用し、シャドーイングを自動で採点する機能を持ちます。一目でスコアを確認できるだけでなく、復習が必要な箇所は色分けされてわかりやすく表示されます。
まずは無料でシャドーイングの採点を受けたい方におすすめです。
ディクテーションとは?
続いて、ディクテーションについて解説していきます。ディクテーションとは、英語の音声を聞きながら、聞いたまま文字に書き取るトレーニングです。
音声を聞いて、その内容を正確に文字に起こすことが求められます。ディクテーションは主にリスニング力、記述力、正確なスペルや文法の理解を向上させることを目的に行います。
ディクテーションの効果・メリット
ディクテーションは細部まで繰り返し聞き、かつ聞き取れた英語を書き出すことが求められるため、受動的なリスニング・音読・シャドーイングのみでは見落としがちな冠詞や前置詞などの機能語(日本語で「てにをは」にあたる言葉で、他の単語より弱く発音される)などの細かい部分の理解を補えるトレーニングです。
以下、ディクテーションの効果やメリットをまとめます。
- 「読めばわかるのに聞くとわからない」という悩みを解消できる
- 苦手部分を把握し、リスニング向上に効果
- 語彙力や文法を鍛えられる
- スペリング・ライティングの強化
「読めばわかるのに聞くとわからない」という悩みを解消できる
テキストを読めばどんな内容かわかるのに、聞くだけでは内容が理解できない方は、音声知覚と意味理解がリンクしていない可能性が高いです。ディクテーションの練習により音声と意味を結びつけ、聞いた言葉を正確に理解できるようになることが期待されます。
苦手部分を把握し、リスニング向上に効果がある
リスニング力の向上に効果があるディクテーションでは、書き取る練習を進めるうちに、自分の苦手な部分が明らかになります。
具体的には、聞き取れない原因が早さについていけないからなのか、単語や文法を知らないためなのか、英語特有の音声変化に対応できていないからなのかなどが把握できます。これにより、個々の弱点を特定し、それに対応した練習を行うことで効果的にリスニング力を向上させる手助けとなります。
文法力や語彙力の強化
ディクテーションを通じて他者の話す言葉や文章を正確に書き取るためには、文法的な構造を正しく理解する必要があります。
例えば、主語と動詞の一致、文の順序、前置詞の正しい使い方など、文法的なルールを実際の文脈で聞き取ることで文法理解力が向上します。繰り返し聞き、さらに書くという作業を加えることで、聞いた内容が記憶に定着しやすくなり、自然な形で文法を使用できるようになります。
語彙力の面では、ディクテーションで多様な英語を聞く中で新しい表現やフレーズに出会う機会が増えることで、自分の語彙を豊かにし、表現力が向上します。
スペリング・ライティングの強化
書き取りを通し、正確なスペリングを覚えることができます。字面で何となく覚えているように思えても、実際書いてみるとあやふやなつづりも、継続的に練習することで正しいスペリングを覚えられるようになります。
また、ディクテーションを学ぶことで正確な文章構造や表現方法が身につき、それを自分の文章に応用することができます。まとまった量の英語を聞くことにより、文脈によってより適切な語彙の使い分けができます。英語での文書作成を行う方や、英検などの筆記試験を受ける予定のある方にとっても有効な学習法だと言えます。書き留めることにより、学習内容が記録され、ご自身のオリジナル教材として復習に活かせるのも良いですね。
ディクテーションのやり方を6ステップで解説
次に、ディクテーションの方法を説明します。
- 音声の選択
- リスニング
- 音声を区切って書き取る
- スクリプトを見て答え合わせ・修正
- 全体の確認
- 間違えた箇所の分析
1.音声の選択
はじめに、音声・スクリプト・プレイヤー・筆記具もしくは文字入力ができるデバイスを用意します。
音声は、リスニングスキルや語彙力に適したレベルのものを選びましょう。さっとスクリプトに目を通すか音声を聞いてみて、半分くらいわかるレベルのものが良いでしょう。
普段使っている教材(参考書や問題集・英会話テキスト)の音声は、より発音がクリアで聞き取りやすいため、おすすめです。
ニュース記事、オーディオブック、ポッドキャストなども使えますが、専門用語が多い音声は避け、自分の興味のあるテーマから選ぶようにしてください。
2.リスニング
選んだ音声を最初に聞きます。この段階では、書き取りは行わずにただ聞くことに集中します。
内容を完全に理解しようとするのではなく、全体の流れや話者の音声の特徴をつかむことを目指します。繰り返し聞きながら、大まかな内容を把握しておきましょう。
3.音声を区切って書き取る
音声を短く区切ってディクテーションします。聞き取れたところまでで一度音声を止め、書き取る作業を繰り返します。
聞き取れない・わからない単語などは途中まででもOKなので、とりあえず書けるところまで書いてみましょう。繰り返し同じ部分を再生し、どうしてもわからない箇所は印をつけます。
4.スクリプトを見て答え合わせ・修正
書き取った内容とスクリプトを比較します。聞き取れなかった部分や間違いを確認し、修正を行いましょう。もう一度同じ音声を再生しながら、正確な発音や文法に注意して、正しい表現をインプットすることが重要です。
5.全体の確認
全て書き取り終えたら、最終的に全体を再生して確認します。改めて全体の流れや文脈を把握しましょう。スクリプトをリピーティング・音読するのも良い方法です。
6.間違えた箇所の分析
ディクテーションにおいて肝心なのが、聞き取れなかった箇所・間違えた理由の分析です。
先述のように、聞き取れない原因にはいくつかのパターンが考えられます。単語・文法の知識不足の場合は語彙力や文法の強化を、音声変化に対応できなかった場合は発音ルールの見直しやシャドーイングをするなど、きちんと対策をすることでより多くの英語を聞き取れるようになっていきます。
ディクテーションの練習だけではなく、その後の分析と対策のステップを丁寧に踏むことで、より効果を感じられるでしょう。
ディクテーションのコツや注意点
ディクテーションのコツ・注意点について解説していきます。
- 慣れないうちは穴埋め・並び替えから行う
- 文脈を把握して意味を推測する力をつける
- 完璧を求めない
慣れないうちは穴埋め・並び替えから行う
ディクテーションは一文を書き取るだけでも思った以上に時間がかかるトレーニングです。わからない表現が出てきたり、長い文を書き取ろうとしたりするとさらにハードルが上がります。
慣れるまでは、穴埋めや単語の並び替えの形式でディクテーションを行うと良いでしょう。聞き取る力がつき、穴埋めや並び替えでは物足りないと感じられたら、全文書き取りにステップアップするのも良い方法です。
文脈を把握して意味を推測する力をつける
正確なディクテーションを行うには、話者の意図や文章の流れを理解することがポイントです。まずは文全体を意識して聞きましょう。文脈を理解することで、次に来る言葉やフレーズを予測しやすくなります。これにより、聞き取りにくい場面でも文脈を手がかりに意味や内容が理解できるようになります。
推測する力が高まると、ディクテーションだけでなく、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの英語全体の理解力を底上げできるようになります。
完璧を求めない
ディクテーションをしていると、スピードを遅くしているのに聞き取れない箇所が出てくるかと思います。すべてを完全に聞き取ろうとはせず、スクリプトを確認しながら進めると良いでしょう。
書き取る際も、完璧に書くことを目的にせず、その都度わからないものは調べ、その場で覚えるようにすれば大丈夫です。わからない箇所、書けなかった箇所を一つずつつぶしていくように進めていきましょう。
ディクテーションにおすすめの教材
シャドーイングと同様、ディクテーションも音声とスクリプトがあれば好きなテーマで練習ができます。
速度が調整できるアプリやプレイヤーを使い、短い文・ゆっくり目の音声から始めましょう。
ディクテーションにも、書籍とアプリで練習できる教材があります。タイピングよりも直接手で書いて効果的にスペルを覚えたい方は手書きで、より手軽に行いたい方、スペリングよりリスニング対策として行いたい方はアプリを活用することでスキマ時間でも学習できます。
アプリには全文をタイピングするもの、単語を並び替えて文章を完成させるもの、ループ再生や速度の調整ができるものなど、機能が充実しています。
以下に、ディクテーションの練習におすすめの書籍とアプリをご紹介します。
- 英語は書いて身につける
- Redkiwi
- ディクトレ
【書籍】英語は書いて身につける
英語は書いて身につけるは、「ディクテーション」と「音読」の練習の組み合わせで日常会話表現を覚えられるワークブックです。「いきなり聞いて書き取る」のではなく、最初に英文の内容と表現を学んでから、ディクテーションに取り組むスタイルを採用しています。
聞く・なぞる・書くの3ステップで、無理なくディクテーションを進められる内容となっています。聞き取りに自信がない方・初心者にもおすすめの書籍です。
【アプリ】Redkiwi
・画像引用:App Store
Redkiwiは、映画やドラマ、スピーチやドキュメンタリー番組などあらゆる動画を教材に学習できるアプリです。
ディクテーションは、全文書き取りではなく、単語を並び替えて文を完成させるスタイルです。クイズ感覚で、楽しみながらリスニング力を伸ばすことができます。3つの難易度から選べるため、レベルや興味に合わせて選べる他、音声のスピードを調整したり、字幕を表示/非表示にしたり、ヒントを表示したりすることも可能です。
レベルや難易度に応じて自分でカスタマイズしながら学習できます。
【アプリ】ディクトレ
・画像引用:App Store
ディクトレはディクテーションに特化したアプリです。一文を書き取るスタイルで、スマホのキーボードを使って英文を入力します。各文の日本語訳がついており、重要単語や問題の解説も充実しています。
ディクトレでは会話文やTOEICのPart1と2の問題形式のディクテーションができ、全部で500問収録されています。再生スピードは0.5倍・標準・1.5倍速の3つから選べ、ループ再生も可能です。
シャドーイングとディクテーションは学習目的や強化したい点に応じて使い分けよう
シャドーイングは特に発音やスピーキング強化に、ディクテーションは文法や語彙力の強化、リスニングの弱点の発見に効果があります。どちらのトレーニングも、自分に合った方法で継続的に行うことが大切です。最低でも1ヵ月以上は続けてみましょう。すぐには手ごたえを感じなくても、続けることで今までよりも一度で多くの内容を聞き取ることができたり、聞き取れないと感じていた音のつながりがクリアになったりと、変化が感じられるようになるはずです。
興味のある内容でトレーニングできる学習法でもありますので、楽しみを見つけながら練習してみましょう。
ご自身の学習目的や、特に強化したいポイントを整理したうえで使い分け、時にはシャドーイングとディクテーションを組み合わせて行うのも効果的ですよ。
シャドーイング、ディクテーションともに、さまざまな教材やアプリで学習できますので、興味や目的に合ったものを見つけて実践してくださいね。
執筆者=アソミ