単語カードは意味ない?英語学習に効果的な活用法を解説



英語学習のプロの意見 : 4

単語カードは、別名暗記カードとも呼ばれ、英単語を覚える際に最もスタンダードな学習法の1つですよね。
しかし、「単語カードは効率悪い」「やる意味ない」といわれてしまっていることもしばしばあります。
そこでこの記事では、なぜ単語カードが「意味ない」と言われているのか、その原因について深掘りし、単語カードのメリットと正しい学習法について解説します。
英単語を効果的に覚えたい方はぜひ参考にしてください。
この記事に登場する英語学習のプロ

Sayumiコーチ
高校時代にカナダ、大学時代にアメリカへの留学経験あり。大学卒業後、英会話スクール講師として幼児~社会人まであらゆる年齢層への指導を行う。現在は社会人の英語学習サポートの他、中高生への受験英語指導や英文添削業務にも従事。英検®1級、TOEIC®970点。出版翻訳も勉強中。

Yukiコーチ
米国大学卒。TOEIC®985点。日本の高校を卒業後に単身で米国へ渡り、試行錯誤しながら英語を習得する。中国語、スペイン語も履修。帰国後は英会話講師、英会話コーチ、翻訳、通訳業を担う。小学生〜社会人まで担当経験あり。

Chihoコーチ
英語は中1からスタート。日本で大学を卒業後、米国にて国際教育学修士課程修了。メーカー、ロサンゼルスの教育機関勤務を経て英語講師・コーチとして、子供から社会人まで指導する。TESOL保持。娘2人も英語学習中。

竹村 和浩
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部准教授、株式会社ユニバーサル・エデュケーション 代表取締役。英検®1級・英語通訳案内士。英語発音矯正士。英語発音矯正の専門家であり、この分野の第一人者。独自の英語音声指導法:EVT: English Voice Train、ing ,英語生成教則:GEM: Generative English Methodを開発。日本にいながらにしてグローバルに活躍できるグローバル人材育成の専門家。日本人がグローバルに活躍するために必要な、英会話の基礎としての英語発音トレーニング、ディベート、ロジカルシンキング、欧米型交渉術、日本文化を理論的に学ぶ「日本学」を専門としている。
単語カードとは
単語カードは一般的に、表・裏が白色のカードの束に、表に日本語・裏に英語を書いて作っていくものです。
お金をかけずに、スキマ時間を利用して英単語などを覚える学習法として人気を集めています。
最近は、すでに単語と和訳が書いてある市販の単語カードもあります。
市販の単語カードとしては、「中学英単語 カードスタイル (高校入試 ランク順カードスタイル)」や「カード英単語ターゲット1400」、「単語王2202 フラッシュ・カード」などが代表的です。
単語カードに似たものとして、「自分で作る単語帳 WordHolic!」などの英単語暗記アプリもあります。
ただしこの記事では、白いカードにペンで書き込んでいくスタイルの単語カードについて解説していきます。
単語カードのメリット
「意味がない」「効率悪い」といわれてしまいがちな単語カードですが、実は様々なメリットがあります。
単語カードの主なメリットは、以下の3つです。
- 持ち運びやすくスキマ時間を有効活用できる
- 書くことで記憶の定着をはかれる
- シャッフルしてカスタマイズできる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
持ち運びやすくスキマ時間を有効活用できる
単語カードは小さなカードの集まりで、バッグに入れてもあまり場所をとらず、簡単に持ち運ぶことができます。
ノートや書籍のように机に広げるスペースも必要ないため、通勤・通学の合間や、休憩時間などに学習を進めることもできます。
スキマ時間に気軽に英語学習ができるのは、単語カードのメリットの1つです。
書くことで記憶の定着をはかれる
単語カードが「効率悪い」といわれがちな理由の1つが、わざわざカードに単語を書き込む手間をかけるのが「時間の無駄」だと思われてしまうからでしょう。
しかし、単語カードに単語を書き込むという工程は、英単語を覚えるのに大きな効果をもたらします。
次のQ&Aを参考にしてください。

Sayumiコーチ
Sayumiコーチの指摘通り、目で見るだけでなく、手を使って書いたり、口に出して発音したりして、五感の様々な側面を使うことで、英単語が記憶に定着しやすくなるのです。
単語をシャッフルしてカスタマイズできる
単語を覚える手段として、速読英単語やTOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズなどの「単語帳」をそのまま使うという方法もあります。
単語帳には、その単語に関連する様々な情報が載っており、単語帳を利用するのも効果的な学習法の1つといえます。
ただ、単語カードには、単語をシャッフルしてカスタマイズできるというメリットがあります。
単語の順番を変えるのはもちろん、覚えた単語とまだ覚えていない単語を整理して、覚えた単語を除外することもできるので、効率的に単語を学習することができるのです。
「単語カードは意味ない」という人が陥りがちなミス
ここまで紹介したように、単語カードには様々なメリットがあります。
それにもかかわらず、「単語カードは意味ない」といわれてしまうのはなぜなのでしょうか。
この章では、「単語カードは意味ない」という人が陥りがちなミスを解説します。
一通り作り上げて満足してしまっている
単語カードを使って学習したけれど、効果を十分に実感できなかったという人は、単語カードを1冊または何冊か書きあげて、それで満足して終わりにしてしまっているのかもしれません。
先ほど紹介したように、単語カードに単語を「書く」工程は、英単語を記憶に定着させる効果があります。
しかし、単語カードを完成させて、そのあとあまり見直さないのでは、単語カードの効果を実感することはできません。
単語カードは、何度も繰り返し見直すことで、英単語を記憶に定着させることができ、学習効果を実感することができるのです。
以下のQ&Aも参考にしてください。

Yukiコーチ
Yukiコーチの指摘通り、単語を学習する際は「何周も何周も」復習する必要があります。
単語カードを1冊作り上げたことに満足してそれで終わりにしてしまうと、結局英単語は定着せず、単語カードの学習効果を実感できないままになってしまいます。
単語カードを作り上げた後も、継続して単語を学習しましょう。
単語を声に出して学習をしていない
単語カードの学習効果を十分に実感できなかった人は、単語を声に出さず、黙って単語学習を進めてしまっていたかもしれません。
前の項で、Yukiコーチも、単語学習は「声に出しながら」進めることをおすすめしていましたよね。
以下のChihoコーチの意見も参考にしてください。

Chihoコーチ
Chihoコーチが指摘しているように、単語を学ぶ際は、お手本となるネイティブの正しい発音とセットで覚えるのが重要です。
お手本となる音声を把握したら、自分でも単語を口に出して発音しながら学習を進めましょう。
発音しながら学習することで、単語がさらに記憶に定着しやすくなり、後から発音を学び直す手間も省けます。
単語カードの具体的な作り方
それでは、実際に単語帳の作り方を見ていきましょう。
まずは、自分の英語レベル・学習目的に合った単語学習書を1冊用意します。お手本となる英語音声付きの単語帳がおすすめです。
そして英単語を1つずつ見ていき、確実に分かる単語を除外しながら、カードの表面に英単語を、裏面に意味を書きます。
この時、単語の正しい発音をセットで覚え、自分で実際に声に出しながら書き写していくことをおすすめします。
手間のかかる作業ではありますが、この手間をかけることで、単語を記憶に定着させやすくなります。
初心者の方は、表面に英単語、裏面に日本語の意味だけを書きましょう。
単語カードでの英語学習に慣れてきたら、表面に品詞やアクセントの位置などを書き加えるのもおすすめです。
単語カードを作る時のコツ
単語カードを作る際には、押さえておきたいコツがあります。
- 一度にまとめて作らない
- 情報を詰め込みすぎない
詳しく見ていきましょう。
一度にまとめて作らない
単語帳を作る時は、一度にたくさんの単語を単語カードに書き写さないようにしましょう。
単語カードを作る時、一気に単語帳まるまる1冊を単語ノートに写してしまいたくなる人も多くなるかと思いますが、それはおすすめしません。
単語カードを作る時は、お手本となる音声を聞いて、自分でも発音しながら単語を書き写すのですが、これはかなり手間のかかる作業です。
ひとによっては、単語帳を作る最中でやる気を失ったり、単語帳を作り上げただけで満足してしまうという事態につながりかねません。
単語カードは、作る過程も丁寧に行うことで、単語を記憶に定着させる学習法です。
単語を書き写す際は、無理のない範囲の単語数をこつこつ書き写すようにしましょう。
情報を詰め込みすぎない
単語カードは、お手本となる単語帳を書き写すわけですが、単語帳には類義語や関連語など、様々な情報が載っているかと思います。
その情報も併せて単語カードに書き写したくなるかと思うのですが、1枚の単語カードにたくさんの情報を詰め込むのはNGです。
単語カードは基本的に、表に英単語のみ、裏面に日本語訳のみを書くのがおすすめです。
単語カードを使った学習に慣れてきた人でも、アクセントの位置や品詞を書き加える程度にとどめましょう。
情報を詰め込みすぎると、肝心の単語そのものを覚えにくくなるおそれがあります。
特に単語カードの利用に慣れていない人は、単語カードに掲載する情報の量は抑えて、英単語を覚えることに集中しましょう。
単語カードを使った具体的な学習法
このように単語カードを作ったら、作った単語カードを利用して学習をはじめましょう。
単語カードを使った学習では、まず表面の英単語を見ます。この時、単語カードを作る時に把握した、英語の正しい発音を毎回発声しながら行うのがおすすめです。
英単語を見て発音したら、その意味を考えましょう。なるべく裏面を見ずに、「どうしても思い出せない」と感じるまで意味を「思い出そう」と心がけます。
英単語は、「覚えよう」とするより、「思い出そう」とする機会を利用した方が、より記憶に定着しやすくなるからです。単語の意味を思い出したら、あるいは「思い出せない」と判断したら、裏面の日本語訳を見て答え合わせをしましょう。
英語を一通り和訳できるようになったら、次は裏面の日本語を見て英訳を答えられるようチャレンジしてください。
単語カードを使った学習のコツ
単語カードを使って学習する際に留意したいのは、以下の3つです。
- 単語を声に出して学習する
- 単語を整理・シャッフルする
- 毎日継続して学習を続ける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
単語を声に出して学習する
単語カードを使って学習をする際は、できるだけ単語を声に出して発音できる環境を作りましょう。
以下のQ&Aを参考にしてください。

竹村 和浩
竹村コーチが指摘しているように、単語を覚える時は、目で見て、手で書いて、口で発音して耳で聞くことで、「視覚・触覚・聴覚」が刺激され、単語が記憶に残りやすくなります。
単語カードを作る時には「手で書く」ことで単語の意味の定着をはかります。
そして作った単語カードを使って学習する時は、単語を「目で見る」と同時に「口で発音する」ことで、英単語が覚えやすくなるのです。
単語を整理・シャッフルする
単語帳を単語カードにわざわざ書き写す大きなメリットの1つに、覚えた単語を除外したり、順番をシャッフルしたりしてカスタマイズできるという点があります。
また、「完全に覚えた」単語は除外して、「あやふやな単語」と「なかなか覚えられない単語」の束に分けて学習を進めることもできます。
慣れた順番に単語が並んでいると、順番を使って覚えてしまう恐れがあるので、単語を定期的にシャッフルするのがおすすめです。
自分なりに単語帳をカスタマイズすることで、効果的に英単語を覚えることができます。
毎日継続して学習を続ける
単語カードを使って学習を進める時は、毎日こまめに学習するのがおすすめです。1日数分でもいいので、毎日コツコツ続けましょう。
単語カードを使った学習のコツは、学習を習慣化させることです。学習を習慣化させておけば、単語カードを使うのが苦になりません。
例えば朝のルーティーンとして単語カードを手にする習慣を身につけてはいかがでしょうか。
1日数分で終わる学習なので、1日の生活に負担をかけることなく、英語学習を進めることができます。
まとめ
単語カードは英単語を覚えるのに効果的な学習法の1つです。それにもかかわらず、「意味ない」「効率悪い」といわれがちです。
単語カードが「効率が悪い」といわれる理由の1つが、単語帳を単語カードにわざわざ書き写す手間がかかることです。
しかし、手を動かして単語を書くことで、英単語が記憶に定着しやすくなるという側面があります。
さらに、単語帳と違って、覚えた単語を除外したり、単語の順番をシャッフルしたりしてカスタマイズできるというメリットもあります。
また、単語カードを使って学習しても効果が実感できなかったという人は、単語を声に出して発音せず、黙って学習を進めていた可能性があります。
英単語を覚える時は、正しい発音とセットで覚え、声に出しながら学習を進めるのがおすすめです。
そして、単語カードを使った学習をする際には、単語カードを作り上げて終わりにするのではなく、何度も繰り返して学習しましょう。
覚えた単語を取り除いたりしてカスタマイズできるのも単語カードの魅力です。
単語カードは決して「意味のない」学習法ではなく、正しいやり方で進めれば、とても有効な単語学習法です。
英単語を効率的に覚えたい方は、ぜひ活用してください。
執筆者=なっつるん