英語の会議についていけない時はどうしたらいい?原因と対策とは
英語学習のプロの意見 : 2
最近、海外のビジネスパーソンと接する機会が増えましたよね。毎週末に英語ミーティングを控えている方も多いのではないでしょうか。
でも、突然英語で会議に参加しろといわれても、なかなかついていけず、毎週末が憂うつになっている方も多そうです。
実は、ひとくちに「英語会議についていけない」といっても、その背後には様々な理由があります。
そこでこの記事では、英語会議についていけない理由を深掘りし、英語会議で堂々と自分の意見を発信できるようになるにはどうしたらいいか、その対策を解説します。
英語会議に参加する予定のある方はぜひ参考にしてください。
この記事に登場する英語学習のプロ
竹村 和浩
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部准教授、株式会社ユニバーサル・エデュケーション 代表取締役。英検®1級・英語通訳案内士。英語発音矯正士。英語発音矯正の専門家であり、この分野の第一人者。独自の英語音声指導法:EVT: English Voice Train、ing ,英語生成教則:GEM: Generative English Methodを開発。日本にいながらにしてグローバルに活躍できるグローバル人材育成の専門家。日本人がグローバルに活躍するために必要な、英会話の基礎としての英語発音トレーニング、ディベート、ロジカルシンキング、欧米型交渉術、日本文化を理論的に学ぶ「日本学」を専門としている。
Takuya_S
日本生まれ。University of California, Berkeley 通称UC Berkeley卒業。教育ベンチャー企業GLOBIS、Accentureを経て現在AmazonにてSCM Analyst・PMとして働いています。アメリカ人の妻と娘、犬1匹と東京に住んでます。仕事柄、世界各国のEngineerやData Scientist、Project Managerとのコミュニケーションが多く、グローバルな仕事の進め方や使いまわしの効く英語表現等の実務を通じて学んだことを共有できればと思います。
英語の会議についていけない理由
英語の会議についていけない原因は、大きく分けて2種類あります。
- 英語力の不足
- 背景知識の不足
そして、「英語力が不足している」状況の中にも、大きく分けて以下の3種類の要素があります。
- 単語・文法の知識が不足している
- 聞こえてきた音声を英語の文字として理解できていない(音声知覚の問題)
- 聞き取った英文の意味を理解できていない(意味理解の問題)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
英語力が不充分
英語での会議についていけない時、真っ先に「英語をもっと勉強しなければならないのかな」と思う人が多いかもしれません。
しかし、「英語を勉強する」といっても、具体的に何をすればいいか分からない方も多いのではないでしょうか。
確かに、英語の会議についていけない理由の1つとして「英語力の不足」が考えられるのですが、ひとくちに「英語力の不足」といっても、様々な要素があります。
- 単語・文法知識の不足
- 音声知覚の問題
- 意味理解の問題
それぞれ詳しく見ていきましょう。
単語・文法知識の不足
「英語力の不足」として真っ先に考えられるのが、単語・文法知識の不足です。
「英語の文法は中学レベルをマスターしておけばいい」という話もよく聞くかと思いますが、それは日常英会話に限った話です。
ビジネスシーンでの英会話は、日常英会話よりワンランク上の英語力が求められます。
目安として、TOEICで800点以上はマークできるように、単語・文法の知識を磨いておきましょう。
聞こえてきた音声を英語の文字として理解できていない(音声知覚の問題)
TOEIC 800点レベルの単語・文法の知識を習得していても、英語の会議についていけないケースがあります。
例えば、/meɪ aɪ ˌɪntəˈrʌpt/?” という音を聞いた時に、”May I interrupt?(ちょっといいですか)” という文だとすぐに理解できるでしょうか。
「文字で読めば分かるけど、音を聞いたときはちょっと考えてしまう」人は、「音声知覚」の処理に問題がある可能性があります。
聞こえてきた英語の音を英語の文字として理解できない、あるいは理解するのに時間がかかってしまうという問題です。
音声知覚のスキルを磨くには、シャドーイングなどのトレーニングが効果的です。
英語の音と英語の文字を頭の中で自動的に関係づけられるようにする必要があります。
聞き取った英文の意味を理解できていない
「ゆっくり流れる英文なら理解できるけれど、会議での英語は早すぎてついていけない」という方は、「意味理解」に問題を抱えている可能性があります。
具体的には、「聞こえてきた音声を文字としては認識できるが、文単位でどういう意味になるのか把握できない」という問題です。
意味理解に時間がかかる原因は、主に次の2つといえます。
- 英文を後ろから読むクセがついている
- 音声知覚に脳内の容量を使い過ぎている
まず、意味理解に問題が生じる原因のひとつとして、英語の文を「後ろから理解する」クセがついていることが考えられます。
学校の英語の授業で、「関係詞節を含む文を訳す時は後ろから訳しなさい」と教わった方も多いかもしれませんね。
例えば、以下の文を見てください。
He is the man that I met at the flower shop yesterday.
このような文は、He is the man [that I met…] などとかっこでくくって、「彼は [私が昨日花屋で会った] 男だ」と返り読みすることが求められましたよね。
しかし、実際の英会話の現場では、返り読みをしている間にも会話はどんどん進んでしまい、1人だけ取り残されてしまうことになります。
先ほどの文は、以下のように前から読んでいくことをおすすめします。
He is the man / that I met / at the flower shop / yesterday.
彼は男だ / 私が会った / 花屋で / 昨日
このように読んでも、十分理解は可能です。
「英文を前から理解する」クセをつけることで、意味理解のスピードは上がります。
また、前の項で触れた「音声知覚」を行うために脳内の容量を使いすぎることも、意味理解の処理の妨げになります。
音声知覚には必要最低限の容量を割り当てて、意味理解に必要な容量を確保することで、聞こえてくる英文の意味を十分に聞き取ることができるのです。
背景知識が不充分
「日常英会話は問題なくできるのに、ビジネス英会話は苦手……」という方は、ビジネス英語の知識や、専門とする分野に関する英語知識が不足している可能性があります。
以下のQ&Aを参考にしてください。
竹村 和浩
ビジネス英語にはビジネス英語特有の「型・パターン」があるということですね。
もし、日常英会話は支障なく行えるのに、ビジネス英会話はなぜか苦手だという方は、ビジネスに特化した英語を学んではいかがでしょうか。
また、それぞれの職種の専門分野に特化した用語の英訳も併せて学んでおきましょう。
例えば医療・看護の分野であれば、「Medication AdministrationI(薬剤投与)」や「Discharge Planning(退院計画)」、システムエンジニアリングの分野であれば「Design Specification(設計仕様書)」などの用語があります。
英語会議についていけない時の具体的な対策
ここまで、英語会議についていけない原因を分析してきました。
それでは、英語会議についていけるようにするには、どうすればよいのでしょうか。
この章では、英語会議についていくための具体的な対策を紹介します。
英語力を磨く
英語会議に参加するにあたって必要な英語力の要素は以下の3つです。
- 単語・文法知識
- 音声知覚
- 意味理解
目安としては、TOEIC 800点以上の単語・文法の知識を確保するようにしましょう。
TOEICではビジネスシーンがよく題材として用いられるので、ビジネスパーソンにぴったりの指標といえます。
もし、TOEICで高得点をマークできても、英語会議でうまく発言できないと感じたら、音声知覚や意味理解を改善するようにしましょう。
音声知覚のスキルを伸ばすには、シャドーイングなどのトレーニングがおすすめです。
そして音声知覚を自動化することで、音声知覚に割り当てられる脳の負担が減り、意味理解をスムーズに行うことができます。
下準備を入念に行う
英語会議についていけるようにするには、英語力を磨く以外に、会議に向けて下準備を入念に行うのがおすすめです。
例えば、事前に資料を読み込んで、会議の目的や議論予定のトピックをしっかり把握しておくことで、会議の流れをつかむことができます。
そして、該当する業界に関する英語表現の知識が浅いと、それだけ英語会議での聞き取りは難しくなります。
気になった用語の英訳は逐一調べておくようにしましょう。
その上で、疑問点や自分の意見を事前に英語でメモしておくとよいでしょう。
ただ、台本のように英作文を書いて用意しておくと、想定外の質問に対応しづらくなってしまうので、あくまでメモ書き程度にとどめて、口頭で会議に向けた英作文の練習をするのがおすすめです。
分からないことはすぐに質問する
英語力に自信がない方は、英語会議の中で質問をする勇気が持てないかもしれません。
しかし、英語力に自信がない方こそ、分からないことを分からないままにしないために、たくさん質問をすることをおすすめします。
以下のQ&Aを参考にしてください。
Takuya_S
英語会議で何も言わないままでは、むしろ同僚からの信頼を失ってしまいかねないということですね。
英語会議では積極的に質問して、自分の存在感をアピールすることが重要です。
以下に、英語会議で質問する時に使えるフレーズの例をいくつか挙げます。
相手の言うことが聞き取れなかった時は、以下のような表現が使えます。
Could you say that again, please?
もう一度言っていただけますか?
Could you speak a little more slowly, please?
もう少しゆっくりお話しいただけますか?
なんとなく意味は理解できたけれど、もう少し詳しく説明してほしい時は、以下のような表現が使えます。
Could you please provide a bit more detail?
もう少し詳しく説明していただけますか?
I would appreciate some more information on this.
このことについてもう少し詳しい情報をいただけるとありがたいです。
相手の言うことは理解したと感じたけれど、念のために確認したい時には、以下のような表現が使えます。
In other words, does this mean...?
つまり、......ということでしょうか?
Are you saying that…?
……ということをおっしゃっているのでしょうか?
こういったテンプレートをある程度用意しておくと、英語会議で遠慮することなく質問できるかと思います。
会議についていける英語力を身につけるには
初心者の方は、英語会議の前に入念な準備をすること、分からないことがあったらすぐに質問することをおすすめしました。
しかし、英語会議で自分の意見を堂々と発信していくには、やはり十分な英語力の確保が欠かせません。
それでは、英語会議に参加するのに十分な英語力を得るにはどうしたらよいのでしょうか。
この章では、英語会議に向けて英語力を磨く方法を紹介します。
英語学習アプリ
英語会議についていける英語力を身につけるのに特におすすめのアプリは、以下の3つです。
- AI英会話スピークバディ
- スタディサプリENGLISH TOEIC®L&Rテスト対策
- シャドテン
それぞれ詳しく見ていきましょう。
AI英会話スピークバディ
・画像引用:App Store
AI英会話スピークバディは、AI相手にリアルな英会話を体験できる英語学習アプリです。
ビジネス英語に苦手意識を抱えている方でも、AI相手なら気遣い無用でいつでも、何度でもビジネス英会話を練習できます。
AI英会話スピークバディで提供されている英会話シーンは800以上。
その中にはリアルなビジネスシーンを想定した会話や、ニュース英語を学べる会が収録されています。
AIが音声を認識してくれるため、音声知覚の理解を深めたい方にもおすすめです。
スタディサプリENGLISH TOEIC®L&Rテスト対策
・画像引用:App Store
アプリ「スタディサプリENGLISH」には、「新日常英会話コース」「TOEIC®L&Rテスト対策コース」「ビジネス英語コース」が設けられています。
英語会議に悩む方にはビジネス英語コースもおすすめですが、英語の基礎体力作りをしたい方は、スタディサプリENGLISHの「TOEIC®L&Rテスト対策コース」でTOEICスコアアップを目指しましょう。
分かりやすいレッスン動画とTOEIC20回相当の豊富な演習問題がアプリ1つに収録されており、スコアアップを実感する声が多く上がっています。
シャドテン
・画像引用:App Store
音声知覚を自動化するにはシャドーイングのトレーニングを行うと効果的なのですが、独学でシャドーイングを行うのが難しい方におすすめなのが「シャドテン」です。
シャドテンは「シャドーイング」と「添削」を組み合わせた英語学習サービスで、送られてきた課題をシャドーイングして音声を送ると、英語学習のプロが毎日添削してくれます。
そのため、独学ではくじけてしまいがちなシャドーイングトレーニングを、高いモチベーションを保ったまま続けることができます。
オンライン英会話
英語での会議についていけるようトレーニングするには、オンライン英会話サービスの利用もおすすめです。
特にビズメイツやベルリッツなど、ビジネス英語に特化したオンラインスクールは、ビジネス英語を手っ取り早く身につけるのにうってつけといえます。
ビズメイツ
・画像引用:ビズメイツ株式会社
ビズメイツは、ビジネス英語に特化したオンライン英会話サービスです。
コーチ(トレーナー)全員がビジネス経験者のため、それぞれのビジネス領域に精通したトレーナーから、実践的な英語を学ぶことができます。
ビズメイツでは、簡易的な英語コーチングサービス「ビズメイツ コーチング」も提供されており、より効率よくビジネス英語を身につけたい方におすすめです。
ベルリッツ
・画像引用:ベルリッツ・ジャパン株式会社
ベルリッツは、ビジネスパーソンの英語力育成に実績のあるオンライン英会話サービスです。
発話に対して丁寧なフィードバックがもらえるのが特徴ですが、40分のレッスン中、全く日本語が使われないので、英語しか使えない環境での対応力が身につきます。
マンツーマンレッスンだけでなく、グループレッスンも提供されているので、マンツーマンレッスンだけではモチベーションを保ちにくいという方にもおすすめです。
英語コーチング
英語会議に参加するのに時間的猶予がないという方におすすめなのが、効率よく英語力を養うことができる英語コーチングサービスです。
英語コーチングサービスでは、
英語会議についていけないという悩みをピンポイントでサポートしてくれます。
- コーチバディ(旧スピークバディパーソナルコーチング)
- プログリット ビジネス英語コース
- ストレイル ビジネス英語コース
- ワンマンスプログラム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コーチバディ(旧スピークバディパーソナルコーチング)
・画像引用:株式会社スピークバディ
コーチバディ(旧スピークバディパーソナルコーチング)は、スピーキングに特化して開発された英語コーチングサービスです。
1日1.5時間、3ヶ月の学習で目標達成を目指すので、仕事が忙しい社会人でも、仕事と英語学習を両立させることができます。
ビジネスで使える英語スピーキング力を測定するテスト「VERSANT」においても、スコアが劇的にアップする受講生が続出している英語コーチングサービスです。
プログリット ビジネス英語コース
・画像引用:株式会社プログリット
英語コーチングサービス「プログリット」の「ビジネス英語コース」では、ネイティブレベルの英語を聞き取ることができるリスニング力と、瞬時に英文を作りアウトプットできるスピーキング力を養うことができます。
忙しいビジネスパーソンにとって、仕事と英語学習を両立するのは大変ですが、プログリットは、日常生活まで踏み込んだ学習スケジューリングを行い、英語学習の習慣化を可能にします。
第二言語習得論に基づき、弱点にピンポイントでアプローチすることで、短期間でのビジネス英語習得を可能にする英語コーチングサービスです。
ストレイル ビジネス英語コース
・画像引用:株式会社スタディーハッカー
ストレイル(STRAIL)のビジネス英語コースは、会議や商談などのビジネスシーンで通用する英語力の習得を目指すコースです。
「Nikkei Asia」や「The Japan Times Alpha」のニュース記事を教材にトレーニングができる自習用アプリを利用することができ、日々の学習を通して、最新の時事英語で使われる語彙・表現を身につけることができます。
「的確な課題発見」と「最適な解決アプローチ」によって、効率的にビジネスに必要な英語を身につけることができる英語コーチングサービスです。
ワンマンスプログラム(One Month Program)
・画像引用:株式会社テンナイン・コミュニケーション
ワンマンスプログラム(One Month Program)は、「ビジネスでの英語コミュニケーション力」に徹底してフォーカスして作成されたプログラムです。
ワンマンスプログラムでは、「シャドーイング」「ディクテーション」「英作文」「リプロダクション」といった本格的な通訳トレーニングメソッドを活かした自己学習を行います。
それぞれの受講生に専属の日本人トレーナーとネイティブ講師がつき、学習進捗から課題添削まで徹底サポートしてくれるシステムです。
まとめ
英語会議についていけない原因は、大きく分けて2つありました。英語力の不足と背景知識の不足です。
また、英語力の不足も大きく分けて3つの要素に分けることができました。単語・文法知識の不足・音声知覚の問題・意味理解の問題です。
英語力の不足に対応するには、TOEIC 800点レベルの単語・文法知識が必要です。
そして、音声知覚や意味理解の問題を解消するためには、シャドーイングが効果的です。
さらに、英語力を磨くことと併せて行いたいのが、背景となる英語知識の補完です。
ビジネス英語全般に共通する「型」のような表現も多いですし、それぞれの業種で使われる専門的な用語の英訳を把握しておくことも必要です。
さらに、英語会議の前には、入念に準備を行うことで、会議本番に自信を持って臨むことができます。
時には第三者に壁打ち相手になってもらうなどして、「会議で話したい英語」を何度も口頭で英作文し、口になじませましょう。
たとえつたない英語でも、「自分の意見をしっかり言う」ことで、自分の存在をアピールすることができ、同僚との信頼関係を築くことができます。
執筆者=なっつるん